寒冷地や寒い時期の登山、ドライアイスや長時間のアイシングでも起こる凍傷ですが
水膨れができた後、皮がむけることがあります。
この原理は、壊死した細胞の下で新たな皮膚ができ、古くなった皮膚がだんだん剥がれ落ちるためです。
これは凍傷の程度によって異なるので、さらに詳しく説明していきたいと思います。
凍傷とは?
凍傷は、雪の降るような寒い土地や山などで起こる皮膚疾患で
重篤になると組織が凍って細胞が破壊されてしまいます。
長い間氷点下の寒い場所にいると、
体温を維持するために体の先端まで血液が廻らなくなり、
その結果皮膚や筋肉、神経、さらには血管までもが凍結するケースもあります。
こちらの動画を見ていただくとより分かりやすいと思います。
また、体が疲労していたり、飢餓や脱水状態になっていたり、
肉体労働やケガ、飲酒や喫煙をしている場合、糖尿病、心臓血管疾患、
末梢血管疾患などを患っている場合は、凍傷になる可能性がさらに高くなったり
寒さに鈍感で気付かない間に症状の進行が早まる危険性もあります。
特に幼いお子さんや高齢者の方は、より注意が必要になります。
凍傷の症状としては、痺れたようなチクチクとした痛みや
皮膚の変色(黄色やグレー、白、赤)などがあり、
それに加えて水膨れや、変色した色が黒である場合、
関節や筋肉が硬くなったり動かない状態は症状が重いとされています。
さらに、熱が出たりめまいや凍傷が起こっている部位が赤くなって腫れたり
排出物がある場合には、直ちに医療機関で治療を受けなければいけません。
なぜ皮がむけるのか
凍傷になると、なぜ皮がむけてしまうのでしょうか。
打ち身した所に冷却スプレーしたら
凍傷なって皮剥がれたけど
かなり痛い(´°д°`)— わーるど ごず らうんど@プチョヘンザ (@jkl930stro) October 21, 2015
まず、凍傷の程度には『表在性凍傷』と『深部性凍傷』の2つがあり
前者の場合は、再生能力があるため元の状態に戻ることができますが
後者になってしまうと、切断を余儀なくされます。
皮がむけるのは、前者の表在性凍傷のケースになります。
凍傷になったときに、水泡ができているなら表在性凍傷なので
3〜4週間で完治すると思って大丈夫です。
また、完治を早めたいのであれば、決して水泡を破らないでください。
そのままの状態で治療を続け、3週間程経過すると
表面の皮膚が乾燥しその下に新しい皮膚が作られます。
きちんと再生されたら、古い皮膚が剥がれピンク色の新しい皮膚が現れます。
これが凍傷によって皮がむける原理になります。
皮がむけた後の注意点
凍傷が完治したからと言っても、新しくできた皮膚はとても繊細で感染症が心配ですし
さらに、完治した後も1〜2年の間は体が寒さに敏感になってしまうため
再発には以前以上に注意しなければいけません。
凍傷はちょっとした気の緩みや小さなミスが重なることで起こります。
ですので、防寒具の不備が無いようにしたり、
食糧の摂取不足によって熱生産が低下しないようこまめに食事を摂ったり、
体調が悪い時・疲労が溜まっている時は無理をしないなど
凍傷にならないよう十分に準備をしてくださいね。
深部性凍傷になって皮膚が硬くなってしまうと、もう二度と元に戻ることはありません。
体の一部を失うことにならないように、しっかりと徹底した予防を心掛けましょう。
凍傷予防のために靴下の中に唐辛子を塗して…っていう昔の知恵は血行促進を期待してのことで、今となってはしっかりした防寒装備とホッカイロの方が安心ですね。
— Kaz Misaki (@msk_kzy) December 19, 2014
まとめ
今回は、凍傷で皮がむける原理について、表在性凍傷の場合に限るということと
皮がめくれた後の注意点についてなどを交えて説明してきました。
登山をする人だけでなく、雪国に住む人も氷点下に防寒具をしないでいたり
素手で雪に触ってしまったりすると、すぐに凍傷になってしまいます。
しっかりと防寒しているつもりでも、耳が出ていませんか?
耳も冷たい風にさらされて凍傷になる可能性はありますので
イヤーマフやニット帽を深く被るなどして冷やさないようにしましょう。
その恐ろしさを知ることで、防ぐことのできるものなので
この記事を読んで予防の大切さがどれほどのものなのかわかっていただけたと思います。
また、凍傷の程度によって完治することができるのだと安心していただけたら嬉しいです。
凍傷は火傷と同様に、家庭でも起きる身近な疾患です。
皮がめくれて治ったと安心せず、その後のケアにも力を入れてくださいね。