インフルエンザに感染した子供に稀に起こる「インフルエンザ脳症」。
最悪死亡する事もあり、命が助かったとしても思い障害が残りこともある恐ろしい病気です。
大切なのは、少しでも早く「インフルエンザ脳症」の兆候を見つけて、
適切な対応をする事です。
インフルエンザ脳症とは?
インフルエンザの感染に伴い急激に発症して、脳の神経細胞などに障害をもたらします
また、時には全身の諸臓器も障害を受けて多臓器不全などになることもある重い疾患です。
インフルエンザの感染が引き金になって起こる疾患ですが、
脳の中でウイルスが増えて起こるわけではなく、感染によって生産される
免疫システム機能から分泌されるたんぱく質の一種である
サイトカインなどによって、脳障害や多機能不全が起こると考えられています。
欧米での発症例は少なく、東アジアに多く見られます。
発症しやすい年齢は1~5歳ですが、2009年〜2010年に流行した
新型インフルエンザでは、5~10才の子供が中心患者でした。
症状の現われ方
インフルエンザの発熱に伴い数時間から一日以内に
- 痙攣
- 意味不明の言動
- 意識障害等
の神経症状が現われます。
症状が進行していくと、、
- 血尿が出る「腎機能障害」
- 酷い下痢がはじまる「胃腸障害」
- 様々な場所から出血が始まる「凝固障害」
肝機能障害等多くの臓器に障害が出始めます。
重症の場合は人工呼吸器が必要となる場合もありますが、
これらは重い例で、意味不明の言動や痙攣があるだけで意識障害が軽い事もよくあります。
インフルエンザ脳症の前兆を見極める=ポイントは症状の「持続時間」
インフルエンザ脳症の主な前兆は「意識障害」「痙攣」「異常言語」です。
特に「意識障害」が出た場合は警戒が必要です。
異常言動や痙攣は、子供がインフルエンザに感染した時には頻繁に起こる症状です。
そのため、医師への連絡・相談や救急車を呼ぶなどの対応を行うかの見極めが難しいです。
「インフルエンザ脳症」の疑いがあるのかの見極めは「症状の持続時間」です。
痙攣の場合は、通常のインフルエンザならば1~2分程続く事はよくありますが、
10分近く経っても症状が止まらないようでしたら、
インフルエンザ脳症の可能性が高くなります。
また、インフルエンザ感染時には寝起きなどに意味不明の言葉を発する
異常言動がよく起こりますが、5~10分程度でしたら様子を見守るレベルで良いです。
しかし、いつまでも異常言動が治まらない場合は医療機関へ受診して下さい。
インフルエンザ脳症についてはこちらの記事もご参考に!
大人も危ない「インフルエンザ脳症」
インフルエンザ脳症は主に子供が掛かる病気ですが、大人が罹らない訳ではありません。
高齢者でもない40代の看護師の女性が「インフルエンザ脳症」を発症して、命を落とされています。
子供がインフルエンザに罹り苦しんでいると、つい大人は後回しになりがちですが、
症状が酷い場合には「インフルエンザ脳症」ではないかと疑って、
早めに医療機関で見て貰う必要があります。
まとめ
2000年ごろは、インフルエンザ脳症に罹患した子供の約30%が死亡して、
25%に後遺症が残っていました。
2005年にインフルエンザ脳症の治療方法であるインフルエンザ脳症ガイドラインが
新しくなり、さらに2009年に「改訂版」が出されて全国に広く普及したことで、
死亡率は8%に減少しました(後遺症は変わらず25%)。
死亡率が減少したと言っても、やはりインフルエンザ脳症での死亡率は8%も有る
恐ろしい病気であることに変わりはありません。
命のボーダーラインは、いかに早く治療を始めるかです。
インフルエンザだから、子供は熱が出ると良く痙攣するからと思わずに、
インフルエンザ脳症などの恐ろしい病気かもしれないとの考えを持って、
様子を見ながら看病することが大切です。
なにより、病気にかからないことが一番なので
日頃からの予防を心がけましょう。
参考にしてみてくださいね。