予防接種の同時接種については厚生労働省の公式見解があります。
すなわち、世界的にワクチンの同時接種で大きな問題が起こったという事は無く、
それゆえ同時接種に問題は無いという見解です。
ただし、摂取を受ける側に身体的、体調的な問題があったり、
予算上の問題などもある場合もあり、個別摂取が必要な事もあります。
風疹の予防接種について
風疹は現在は麻しん風しん混合ワクチンか風疹ワクチン個別で摂取が出来ます。
幼児の場合、定期接種が生後12ヶ月から24ヶ月未満に1回目、
5歳から7歳未満で小学校就学の1年前の間に2回目となっていて、
摂取前に風疹か麻しん(はしか)に罹った事があり既に抗体を取得している場合は
罹っていない方だけの摂取となります。
また、風疹の予防接種が実施されていなかった時代の方たちが大人になっている現在、
妊娠中に風疹に感染すると胎児が先天性風しん症候群となる確率が高く、
赤ちゃんが先天的な身体障害に苦しめられる可能性があります。
そこで大人で抗体の無い方の風疹の予防接種も呼びかけられています。
この先天性風しん症候群は妊娠初期の6周目までの場合、
その羅患率はほぼ100%とされるぐらい、風疹は妊婦さんに恐ろしい病気なので、
出来る限り妊娠前に予防接種を受ける事が推奨されています。
地域によってはその接種費用を全額助成してくれる自治体もありますので、
調べてみると良いでしょう。
b型肝炎の予防接種について
b型肝炎は現在日本では任意の予防接種となっていて、
希望しなければ受ける事が出来ません。
ただし平成28年度(2016年10月)に定期接種になる方向で進んでいるので、
近い内に予防接種を受ける事が当たり前になるでしょう。
ただ定期接種は0歳時のみとなる予定なので、
既に1才を過ぎている方は、やはり自費で摂取するしかないようです。
b型肝炎はb型肝炎ウイルスによって引き起こされる病気で、
一過性の感染と持続性の感染があります。
b型肝炎ウイルスは思春期以降に感染してもほぼ一過性感染となります。
長期治療を必要とする持続性感染を引き起こすのは
多くは乳幼児期の母体からの感染であり、
稀に病院などで血液や体液などが付着した治療器具などを介して感染する事で
慢性感染に至るリスクがあるようです。
また、成人では身体が弱っている時に感染すると
慢性感染となってしまう事があるようです。
このように子供はb型肝炎ウイルスに感染すると慢性化するリスクが高くなります。
まれにB型慢性肝炎では急性増悪という肝機能の急激な悪化のため、だるい、黄疸がでるなどの強い症状があらわれることがあります。多くの場合は、慢性肝炎自体の自覚症状は軽いのですが、肝炎が数年から数十年と長い間続くと、肝硬変、さらには肝臓癌に進む可能性があります。
— pekon (@nhainh5) January 9, 2016
出来るだけ早い内に予防接種を受けておきたい病気と言えるでしょう。
風疹とb型肝炎の同時接種について
前述したように厚生労働省の見解は
風疹とb型肝炎の同時接種についての安全性を認めています。
副作用と言われる、腫れや発熱などのリスクについても
単独摂取とそう変わらないという見解です。
更に出来るだけ同時接種をした方が良い理由として、
単独摂取をすると、次に予防摂取が出来るまでに期間が必要となるという物があります。
b型肝炎のワクチンは不活化ワクチンなので接種後6日以上開ける必要があり、
麻しん風しん混合ワクチンの場合は生ワクチンなので27日以上間を開ける必要があります。
現在はb型肝炎の予防接種が自費であるという事も1つの問題ですが、
今後0才児への摂取が定期化されると風疹とは受ける時期が違うので
自然と別の接種となりそうですね。
ただ、定期接種の年齢を過ぎてしまっていた場合は、
同時接種したいという方も多いのではないかと思います。
そこで問題となって来るのが同時接種を行っている病院が少ないという事です。
川崎市でワクチン同時接種を肯定する医師は91%だが実際に行っている医師は68%に留まった。その理由は同時接種の社会的浸透不足、安全性・有効性に対する懸念、有害事象発生時の緊急対応困難、接種医に対する責任問題などを危惧してだった。 #小児科学会雑誌
— 森戸やすみ (@jasminjoy) November 5, 2013
これを見ると、何かあった時に訴えられるかもしれないという恐れがあるという事なのでしょうね。
ワクチンへの不安と未摂取の不安
予防接種問題は長年議論されている事なのですが、
結局事故はゼロに出来ない以上、結論は出ない事なのだと思います。
ウイルス感染へのリスクを取るか、
ワクチン接種での事故リスクを恐れて予防接種を止めるかという問題は、
長く意見が交わされ続けていますが、事実として予防接種を始めてから感染症で亡くなる子供が減っています。
また、予防接種で完全に防げない場合でも感染症に軽く罹るのも予防接種の利点でしょう。
これまでの事例で、ワクチンの作り方の不備などから
逆に感染させてしまう事となった事故もありましたが、
医療は少しずつですが着実に進化しています。
とは言え、誰しも、自分の家族が少数の事故例になるのは嫌ですし、
不安が消える訳でもないので、結局の所、
予防接種肯定も予防接種否定も、自分が決めるしかないと言ってしまうしかありません。
書籍などを読んで、基本的な知識を身につけましょう。
ネットでは情報が多すぎてどれを読んでも書いていることが違うことがあります。
しくみさえ理解すれば、予防接種に対する不安感が拭えるかもしれませんね。
突き詰めればどちらのリスクを取るか?という話なのですよね。
なかなかに難しい事ですが、事故例の少なさから見て、
予防接種を受ける事で子供を守ろうとするのは、ある意味当然と言えるでしょう。