肋間神経痛とは胸に痛みを引き起こす病気ですが、
この原因としてコクサッキーウイルスが挙げられる場合があります。
コクサッキーウイルスは口内炎や手足口病などを発症させるウイルスとして知られていますが、
極稀に、神経に炎症などを引き起こす事があります。
胸部の肋骨の間を通って伸びている肋間神経がコクサッキーウイルスに感染して発症した場合
炎症が起きて肋間神経が刺激され、肋間神経痛となるのです。
コクサッキーウイルスとは
コクサッキーウイルスとはエンテロウイルスの1種です。
エンテロウイルス群は夏風邪の原因菌としても知られています。
エンテロウイルスは腸管で増殖するウイルスの総称で、
この感染症は夏から秋に掛けて多く発生します。
エンテロウイルスは感染しても腸管に留まる限りは症状が発症する事なく、
そこで体が免疫を獲得してその特定ウイルスで発症する事はなくなります。
しかし、人に感染症を引き起こすエンテロウイルスは67種類あり、
それぞれが似た症状を引き起こし、腸管以外の体内の組織のどこかに感染すると、
そこでそれぞれの症状を発症します。
つまり治ったと思っても同じような症状を何度も起こす可能性があるのです。
中でもコクサッキーウイルスが発症するのはその多くは呼吸器系で、
風邪や口内炎といった病気と診断されます。
また、体内の神経などに感染した場合、そこに強い痛みを起こさせる事となります。
その一例が肋間神経痛という訳です。
肋間神経痛とは
肋間神経とは、肋骨にそって胸から腹部に伸びている神経の事を言います。
その肋間神経が急に痛みを発し、多くは胸の片方が締め付けられるように痛み、短時間で解消します。
これが単発で起こって終わってしまう事もあれば、何度か繰り返す事もあります。
これを総称して肋間神経痛と言います。
肋間神経痛の原因として考えられる物は1種類ではなく、
その原因によって様々な対処法があります。
時には心臓他の痛みが拡散されて肋間神経痛として発症する場合もあり、
原因が特定されないと対症療法で痛みを止めるに留まり治療は原因を突き止めてからになります。
多くの場合は自然に治ってしまう事が多い病気です。
コクサッキーウイルスによって引き起こされる場合は肋間神経そのものに炎症を起こしたり、
肋間神経ではなく肺や胸膜に炎症を起こしている場合もあります。
一口に肋間神経痛と言っても、同じような症状ではあっても原因が違う場合が多々あるのです。
肋間神経痛が背中の痛みを引き起こす事もあります
肋間神経痛だけでも様々な症状や原因があるにも関わらず、
更にその肋間神経痛が他の症状を引き起こす場合があります。
背中の痛みなどもその一つです。
肋間神経痛によって胸部の筋肉が引きつり、
それが背中の筋肉にまで影響を与えるといった事で背中に痛みが発症したりするのです。
元々肋間神経痛自体がその全ての原因が特定出来る症状ではない為、
その症状が体の他の部分に影響を与えると、それぞれに対症療法を行うしかなくなってしまいます。
とは言え、肋間神経痛自体は生命そのものを脅かすような物である事はほとんどありません。
内臓疾患の痛みの反射である場合に注意を払う必要がありますが、
それ以外では、主に鎮痛剤や針、漢方薬、ツボ押しなどで
痛みを抑える治療を施す事で、その症状に対処するのです。
コクサッキーウイルスの種類
コクサッキーウイルスは、前述した通りエンテロウイルスの1種ですが、
そのコクサッキーウイルスにも多数の種類があります。
コクサッキーウイルスA群が1から22型
コクサッキーウイルスB群が1から6型という感じです。
その為、コクサッキーウイルスのA型1が口内炎を起こして
それが治った後に、コクサッキーウイルスA型2が肋間神経痛を起こすという事が起こり得ます。
普通、ウイルスは体が抗体を作ってしまえばそれ以降、症状を発症する事が無くなるのですが、
この種類の多さによっていつまでも同じような症状を引き起こされてしまうのです。
ほとんどの場合は体に大きな影響は無く、
しかも腸管にいる場合には症状すら引き起こさないウイルスですが、
脳や肺、心臓に感染した場合には危険な炎症を引き起こす事もあるので、やはり注意が必要です。
感染源としては、感染患者の口や鼻から出る分泌物がそれにあたります。
外から帰った時のうがいや手洗いをきちんと行うようにするのが一番の予防と言えるでしょう。ただ手を洗うだけでなく徹底して消毒もし、ウイルス対策をしましょう。