アトピーの方の肌は敏感です。
アレルギー反応を起こしやすいというだけではなく、
その前提段階として乾燥肌である事が多いのです。
乾燥肌には刺激はご法度という事で、ポリエステル素材は良くありません。
化学繊維であるポリエステルは静電気を溜め込みやすく静電気は肌を刺激してしまうからです。
アトピーは乾燥肌から?
アトピーの原因は大きく二つあるとされています。
アレルギー体質と乾燥肌です。
乾燥肌をもっと身体の機能面から説明すると、
肌バリア機能が低下しやすい体質と言う事が出来ます。
肌バリア機能とは肌を外敵から守っている機能の事で、
皮脂などによって肌の表面が覆われて直接外の刺激や菌などが接触しないように、
また、潤いが逃げないように機能している事を指します。
このバリア機能が低下すると、肌は乾燥し、カサカサとなり、
粉が吹いたように白くなったりといった状態になってしまいます。
この状態になるとアレルギーの元である
アレルゲンや細菌などが肌に直接接触する事となり、肌が炎症を起こしてしまうのです。
その為、アトピーの治療を行う時は、
炎症を治療してから肌バリア機能の回復を目指す事となります。
ポリエステルはなぜ静電気を溜め込みやすいのか?
静電気は主に乾燥した状態での接触、剥離、摩擦などによって発生するものです。
しかし、それは何とでも接触や剥離や摩擦をしさえすれば発生するという訳でもありません。
物にはそれぞれ帯びやすい電気性質がありますが、
それは大きくプラスとマイナスに分ける事が出来ます。
そしてこのプラスとマイナスの度合いが極端に違えば違う程、
発生する静電気は大きくなるのです。
人体は基本的にプラス寄りの性質で、髪の毛やウール木綿などもプラス寄りです。
属性が同じ物同士だとあまり静電気は発生しません。
しかし、化学繊維はそのほとんどがマイナス寄りとなっていて、
ポリエステルはその中でも大きくマイナスに寄っています。
大きくプラスに寄っている物と
大きくマイナスに寄っている物が接触したり離れたりするたびに静電気が発生する為、
例えばポリエステルの服を脱ぐ時に髪の毛と接触するだけでその両方に静電気が溜め込まれてしまうのです。
そうして帯電状態となったポリエステルとプラス寄りの肌や髪の毛が接触すると、
電気の大量移動が起こり、バチバチッと電気が放電するという訳です。
アトピーにはどんな素材の服が良いの?
前述の内容を踏まえると、
プラス寄りの人体にはプラス寄りの素材が良いと考えられます。
シルクなどは髪の毛と肌の中間ぐらいに位置するので静電気が起きにくい素材と言えるでしょう。
実際ポリエステル素材の服で苦労している方もいるようです。
アトピー性皮膚炎と接触性皮膚炎(自分の汗や化学繊維、紫外線)で中学指定のポリエステル白シャツが着られず、市販の綿シャツは開襟しか売ってなくて担任に説明したのに学年主任とか他の先生に何度も呼び止められたり担任がそれを忘れてまた呼び出されたりして面倒だったなーーー!
— @asihcは氷の上 (@asihc) November 19, 2012
また、純粋に化学繊維がアレルゲンで
静電気がどうこう以前の問題でポリエステルの素材を受け付けない方もいるようです。
アトピーで電車の席や映画館の座席で痒くなる場合があって困っております。
担当医は「座席がポリエステル等の化学繊維で覆われていて石油製品過敏症で痒くなり悪化する」と言う。綿100%のタオル等を持ち込み使用するとまだ楽なのですが、他に良い対策法あるなら教えて欲しいです。— 逢as野良猫 (@IllusionMill_ai) December 22, 2015
ただし、逆に、自然素材がアレルゲンである場合や、
汗で蒸れる事で肌が荒れるという方もいるでしょう。
一概にポリエステルだからダメとは言えないのがアトピーの困った所なのです。
汗がダメな方の場合は湿気を溜めない素材の服が必要ですし、
その場合はどうしてもポリエステル素材が使われる事となります。
お医者さんに自分のアレルゲンを確認してもらって、
大丈夫な素材を認識するのがまず一歩目として、
例えば肌に直接接触する所は綿100%にして、
そのすぐ外側は吸水性の良いポリエステルを使った素材を使うなどという事も考えられます。
ただし、この場合静電気発生率はアップします。
静電気防止には乾燥を避けるべし
静電気が夏にはあまり発生せずに冬に発生するのは冬は大気が乾いているせいです。
大気中に水分があると、
その水分が静電気を吸収してしまうので静電気がたまりにくくなるのですね。
その為、せめて家の中は乾燥しないように
加湿器などで湿度をコントロールするのが静電気の発生を抑えるコツと言えます。
また、アトピーの場合は埃などが舞っているのも良くない環境なので、
その意味でも一定の湿度がある方が良いと言えます。
細菌やウイルスなども乾燥している状態より
ある程度湿度がある方が活動しにくい事が分かっています。
肌の保湿もですが、身体のアレルゲンとの接触場所である鼻や喉の粘膜も、
乾燥には弱いので尚更でしょう。
環境コントロールと、身に付ける素材の吟味を賢く行って、
快適な生活により近付けるようにしていきましょう。